ベーレンライターの新しいメンコン

メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64
Felix Mendelssohn Bartholdy : Concerto in E minor for Violin and Orchestra op. 64

新資料に基づく新版のラインナップ

1844年初期および1845年後期版 フルスコア
1844年初期版ピアノリダクション(ヴァイオリンソロ+ピアノ伴奏)
1845年後期版ピアノリダクション(ヴァイオリンソロ+ピアノ伴奏)
クライヴ・ブラウンによる演奏解釈(独・英/解説書)
(※オーケストラパート譜は新版なし、現行譜を共用)

ベーレンライター社より新発見の資料に基づく新版が出ました。
校訂者はR・ラリー・トッドとクライヴ・ブラウン。
ベーレンライター社のニュースタイトルは “SENSATIONAL NEW SOURCE” !
同社の興奮が伝わってきます(笑)

メンデルスゾーンは3人のヴァイオリニストと立て続けにこの曲を演奏しました。
一人目は、作曲中から密接に関わり、初演を飾ったフェルディナンド・ダヴィッド。
二人目は、まだ”神童”と言われていた頃のメンデルスゾーンの若き生徒、ヨーゼフ・ヨアヒム。
そして三人目が今回の新発見の資料の持ち主、ユベール・レオナールです。
彼はこの頃、当代最高のヴィルトゥオーゾの一人として評判のヴァイオリニストでした。フランクフルトの家に彼を招待したいとメンデルスゾーンが書いた手紙とともに、ヴァイオリンソロパートの校正刷りが発見されたのです。
メンデルスゾーンが校正刷りをダヴィッドに与えたことは知られていましたが、レオナールにも与えていたということがこれで今回初めて明らかになりました。そこにはボーイング、フィンガリング、ポジション、追加のレガートなどが書き込まれており、1845年2月のある夕べ、メンデルスゾーンとレオナールがどのように協奏曲を演奏したかが記録されていました。
のちにメンデルスゾーンはこの日の演奏に対し最大の称賛を贈り、ドイツで仕事を探す際には全面的に協力すると申し出るほど彼を高く評価しており、この新版は後世のヴァイオリニストたちにどのようにこの曲を演奏すべきか、貴重なアドバイスを与えてくれます